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猫背・ストレートネックの治し方
(円背自己矯正法)

◆猫背とは

 医学的には“円背”と呼び、脊椎の胸部の後弯が強くなったものをいいます。

猫背

 原因は先天性のもの、加齢による変形性脊椎症によるもの、圧迫骨折による楔状変形や発達障害であるショイエルマン病を除き、日常生活での不良姿勢によるものがほとんどです。

 特に児童期、思春期の座位姿勢の悪さが大きく影響します。

 成人してからも事務職や研究職の方のようなデスクワークがほとんどを締める方は座位姿勢の影響による猫背になる確率が高くなります。

 また、製造業や理・美容師の方のように手を前の方で使い、前かがみになる事が多い方も猫背になりやすいと言えます。

 猫背になると頸椎はストレート化し、加えて顎を突き出すクレーンネック状態になる事が多いようです。

 通常ストレートネックやクレーンネックは猫背が治る事によって改善されますが、顎が胸につきにくい、真上を向きにくい等の可動制限がある場合は猫背の矯正だけでは治らない場合があります。 (可動制限がある場合はこちらをご覧ください)

 また、ご本人が猫背と思っていても実はそうでない場合があり、その代表的なものが“平背”です。

 平背は胸椎の後弯が少なくなった状態ですが肩関節が前方に移動しているいわゆる“巻き肩”の方は肩甲骨の内縁がせり出すために横向きになって鏡に写した時に猫背のように見えます。

 しかしながら、肩甲骨の間の背骨を触るとまっすぐ、もしくは凹んでいる状態になっています。

 また、その様な方は代償として平坦になっている部分の上下の部分(首の付け根と腰の上部)に強い屈曲による背骨の出っ張りが見られます。


◆猫背・ストレートネックを改善するためには

 猫背は長年かけてできた背骨の癖です。

 多くは、座っている時の姿勢が原因で、丸くなる状態が長時間続くために背骨の関節の動きが悪くなったり、周囲の靱帯や筋肉に短縮が起こることによって形成されます。そして、それらが邪魔をして正しい姿勢をとることを困難にしているのです。

 一般的には背筋が弱って起きると言われますが、それならお年寄りは全員猫背でスポーツマンに猫背はいないということになりますが、現実は双方とも当てはまらないことを見ればそれだけでないことは明らかです。

 正しい姿勢にするためにはまず、関節機能を回復させるための運動を行い、次に縮んだ組織をストレッチしてあげる必要があります。

 前述したように、頸椎の伸展可動制限がない方は以下の方法でストレートネックも同時に改善されますが、可動制限がある方はこちらの方もご覧ください。

4つのキーポイント

@ 肩関節が前方に移動したため、縮んだ状態の癖(適応性短縮)がついた胸の筋肉のストレッチ。
A 伸びにくくなった背骨の関節の動きを良くする。
B 縮んだ靭帯のストレッチ。
C 正しい座位姿勢。

◆猫背解消グッズ(ストレッチャー)の製作

用意するもの
新聞(朝刊2部)、バスタオル、太めの輪ゴム2本


◆猫背自己矯正のしかた

※ご高齢の方や加齢等による背骨の変性の著しい方は行わないで下さい。
※ご自身の責任において行ない下さい。起こったいかなる事象に対し、当方は一切の責任を負いません。




☆キーポイント@
胸の筋肉のストレッチ


 猫背になると、いわゆる巻き肩と云われる肩関節が前方に移動して肩甲骨が左右に拡がった状態になり、胸の筋肉に縮んだ癖がつき、肩を後ろに下げ、胸を張ることを困難にします。


 そのために、正しい姿勢の癖付けをする前にまず胸の筋肉のストレッチをする必要があります。

 方法はドアの間口や部屋のコーナー等を利用して図のようにストレッチします。

 この時、気をつけたいのが肘の位置です。

 肘が肩関節より上 になるように柱や壁に引っ掛けるようにして下さい。肘が低い位置にあると、肩甲骨をしっかり後方に持っていくことができません。

 肘を引っ掛け、胸の筋肉に突っ張り感を感じる位置まで体を前方に移動します。そしてその状態で突っ張り感が少なくなるまで静止します。さらに体を前方に移動して再度突っ張り感が感じるところで静止することを繰り返すと柔軟性が高まります。


 部屋のコーナーなどで片方ずつ行う時は、引っ掛けている肘と反対の方を向くようにしてしっかりストレッチできるようにしましょう。
 お風呂上がりに行うとより効果的です。

☆キーポイントA
背骨の関節の動きを良くするエクササイズ


 丸くなった状態で動きにくくなった背骨の関節の動きを良くする運動です。


(膝を立てて行って下さい)

 まず、背中の丸くなっている頂点の部分に自作のストレッチャーを背骨に対して垂直に入れます。

 通常の猫背の場合は肩甲骨の下端あたり、平背で首の付け根が出っ張っている方はその部分に入れます。

 後頭部で指を組んで、肘を閉じながら頭を床から持ち上げます。

 この時、腹筋運動ではありませんので背中をストレッチャーから浮かす必要はありません。背中がストレッチャーに着いたままで頭が床から15〜20p持ち上がるだけで結構です。

 リズム良く、10〜20回行って下さい。


☆キーポイントB
縮んだ靭帯のストレッチ


通常の猫背の場合



 一番出っ張っている場所にストレッチャーを横向きに入れて、そのまま20〜30分保持。

 腰が反らなければ、足は伸ばして頂いても結構です。

 終了時に背骨に痛みを伴い起き上がりにくくなりますが、通常おこる反応で、しばらくすると治まります。むしろ、まったく痛みが感じられない高さですと、低すぎて矯正効果がありません。

 また、背骨を丸くすると早く治まりますが、せっかく付けた伸びた癖が戻りますので背筋は伸ばしておいて下さい。
 靭帯組織の可塑性が現れるのに20〜30分かかると言われているので、終了時の痛みが強すぎる場合は時間を短くするのではなく、芯の新聞紙を少なくする等で高さを低くして、時間はそのままで行って下さい。

 1週間から10日ほどで終了時の痛みが軽減してきますので、新聞紙の量を増やしたり、雑誌に換えるなどして持ち上げる量を少し多くして行って下さい。
 1ヶ月ほどで肩を後ろに引き、胸が張りやすくなり、3ヶ月ほどで見た目の姿勢に変化が現れるはずです。しかし、座る姿勢が悪いと効果が相殺され姿勢を改善することができません。

 正しい座位に関しては後述いたします。


平背の場合


 平背の場合はストレッチャーを背骨に合わせて縦に入れます。

 その時、上端を首の付け根の一番出っ張っている部分に合わせて下さい。


 また、腰の上部の出っ張りも強い方はストレッチャーをもう一つ作り、腰の部分に横に入れて下さい。

 方法、注意点は上記猫背の方法に準じます。


☆キーポイントC
正しい座り方


 姿勢が悪くなる原因のほとんどは座る姿勢にあります。

 骨盤を寝かして座ると背中から腰にかけて大きなCの字型の癖がつき姿勢不良の原因となります。

 いくら正しい姿勢の癖付けをしようとしても正しい座りかとをしないとせっかくの効果を相殺していまいます。

悪い座り方

 猫背の矯正に加えて、正しい座り方をするように心がけましょう。

 正しい座り方は二通りあります。

 一つ目は一般的な正しい座り方で、座面と背もたれの角に尾椎(尾てい骨)を滑り込ませるようにして骨盤を起こして背もたれを利用して深く座るようにします。

 そして、椅子を机に引き寄せ、体が前に倒れないようにします。

良い座り方@

 二つ目は逆に極端に浅く座る方法で、座面の端に座り、足をお尻の下あたりに置くことで骨盤が寝るのを防ぐ方法です。

 この時もなるべく机に体を引き寄せ、前かがみにならないようにします。

良い座り方A

 正しい座り方とは座っている時でも立っている時と同じような背骨の弯曲(生理的弯曲)を維持する座り方ということになります。

 座る時の骨盤の角度を正しい状態に保つクッションや腰椎サポートを背もたれに装着するのも効果的です。


次項 ストレートネックの自己矯正について

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