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内臓疾患による腰痛、
特に悪性腫瘍による腰痛


 悪性腫瘍による腰痛には悪性腫瘍の骨転移によるものや後腹膜臓器の悪性腫瘍によるもの、脊椎や脊髄の腫瘍によるものなどがあり、高齢者の腰痛の約10%がこれらによるものだと言われています。

 臓器の悪性腫瘍の約14%が骨に転移し、その多くが脊椎であると言われ、男性の場合、肺癌の24%、前立腺癌の23%、胃癌の9%が骨転移を起こし、女性の場合は乳癌の35%、子宮癌の12%、胃癌の11%が骨転移を起こすという報告があります。
 悪性腫瘍が脊椎に転移すると骨の破壊が起こり、腰痛を引き起こし、患部の椎骨を叩くと強い痛みが出ます。

 背中に近い、膵臓や腎臓などの後腹壁臓器の悪性腫瘍も腰背部に痛みを起こします。

 頻度としては他の悪性腫瘍よりは低いですが、多発性骨髄腫、骨芽細胞腫、髄膜腫、神経膠腫瘍など脊椎や脊髄原発の悪性・良性腫瘍によっても腰痛は発生します。

 悪性腫瘍による腰痛の特徴は、安静時にも痛みがあることが多いことと、特に腫瘍が増殖する夜間就寝時に痛みが出ることにより不眠状態に陥りやすいことです。

 安静時の痛みは通常の内臓疾患によるものも多いですが、高齢者でこのような特徴のある腰痛がある方は悪性腫瘍を疑い、内科を受診することをお勧めします。


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