梨状筋症候群梨状筋症候群は、上・下肢を走行する末梢神経が骨、筋、筋支帯などの結合組織によってスペースを占拠されたり、締め付けたりされることによって起こる末梢神経絞扼障害のひとつで、坐骨神経が骨盤内から下肢へ向かい臀部を通過する下図 際、梨状筋により圧迫・絞扼されることによって坐骨神経痛様の痛みが臀部や下肢に現れます。 これらの痛みは一般的に座位で増悪する傾向にあります。 発生頻度は女性に高く、梨状筋自身が先天的な変異(2つに分かれていたり、腱様になったりする)の多い筋であるため、坐骨神経の走行の変異(梨状筋を貫いていたり、梨状筋の上を通過する)を合わせると実際の診断より多くの方に起こっている可能性があると言われています。 梨状筋症候群で見られる下肢への放散痛は椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などで出現する(神経)根性坐骨神経痛と非常に似ているのでそれらとの鑑別が重要です。 梨状筋症候群の鑑別方法として梨状筋テスト下図 があります。 方法は、仰向けに寝て膝を抱きかかえ、手で内側に倒そうとするのを太ももを外にもっていく様に抵抗します。この動作で下肢に放散痛が再現されれば梨状筋症候群が疑われます。また、梨状筋を押圧することによっても痛みが再現されます。 対処法としては梨状筋に対するトリガーポイント療法(局所麻酔の注射、虚血圧迫など)や座る姿勢・歩行の矯正、運動療法、ポジショナルリリース法* などがあります。難治性のものには稀に手術を行うこともあります。
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