内臓疾患による腰痛腰痛は内臓疾患の病変部による周辺組織の圧迫や関連痛として現れる場合があります。 内臓疾患起因の腰痛の特徴は安静にしていても痛むことで、姿勢や動きに影響されない痛み(婦人科系疾患や腎疾患によるものは姿勢の変化による痛みの変化があります) です。 痛みの多くが骨格系や筋系の傷害による腰痛がよく現れる腰の付け根ではなく比較的腰の上部に現れます。 膵臓や腎臓などの後腹壁臓器が原因のものは、背中を叩くと背部から腹部に突き抜けるような痛みが出る特徴があります。 急性の激しい腰痛を起こす代表的な疾患として腹部大動脈瘤下図 があげられます。 動脈瘤は動脈硬化などが原因で血管が風船のように膨らんだ状態で、腹部大動脈で起こった場合、血管壁が破れてゆく過程で腹部や腰部に激痛が現れます。腹部大動脈瘤は高血圧の方に起こりやすく、腹部に拍動性の腫瘤を触知することがあります。 腹部大動脈瘤は破裂すると7割の方が死に至る疾患です。上記の兆候がある場合は速やかに内科を受診して下さい。 急性腰痛が現れる疾患として他に腎結石・尿管結石、急性腎盂腎炎、急性膵炎、子宮外妊娠、子宮内膜炎、悪性腫瘍及びそれらの脊椎転移などがあります。 慢性の鈍痛として現れるものに、肝硬変、遊走腎、嚢腫腎、前立腺疾患、子宮筋腫、卵巣嚢腫、良性腫瘍、悪性腫瘍の脊椎転移などがあります。 また、内臓疾患ではありませんが脊椎カリエス*や化膿性脊椎炎*などの脊椎炎症性疾患によっても脊椎に限局された腰痛が現れます。 初期症状として腰痛のみが現れているものも、いずれ腹痛やその他の内臓由来の症状が出てくるので兆候を見逃さず、速やかに内科を受診して下さい。
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